なつみかんの花びら
コンコン──
「はい?」と返事を返すと扉が開きました。
白いコートになつみかんの花のネクタイピンをつけた夏樹くん。
このネクタイピンが花音ちゃんに付き合って貰ってふたりで選んだプレゼント。
嬉しいなぁとにまにましてしまいます。
「〜〜っ」
恥ずかしさと嬉しさのあまり、言葉なく立ち尽くしていると、夏樹くんがふわりと笑いました。
「ヤバいな。予想通り似合ってる」
はにかむところは愛しいですが、問題は違います。
「何でこっちに来ちゃってるの⁈」
「来たかったから」
どうにか時間作った! と誇らし気に。
もう……と小さくぼやきました。