なつみかんの花びら
ひとり、家の前で待つ。
遅いなあ。
「今日は朝からって言ってたのに」
ぶつぶつとぼやいていると、
「ごめん! 遅くなっちゃった」
君は息を乱し、肩までもないあご下のふわふわの髪が揺れていた。
「おはよ、柑夜」
「蜜樹くんもおはようっ」
満面の笑みが眩しい。
「で、寝坊?」
柑夜の肩がビクリと震えた。
視線を逸らされても見続けると……頷いた。
やっぱり彼女はウソが吐けない。
だからこそ──、
「ちゃんと起きて下さい」
「ハイ……」
愛しい。