Finale Love
yasuはブースの外からマイクを使って弥生に話した。

ヘッドホンからyasuの声が聞こえた。

「今、ヘッドホンから俺の声、聞こえてるやろう?」

弥生はうなづいてた。

「ほな、マイクに向かって俺の名前呼んでみん?」

弥生は言われたとおりマイクに向かってyasuの名前を言った。

「弥生の声、ちゃんと聞こえてるでー」

「こんな感じなんだ。
プロのレコーディングスタジオって」

「そうやー・・・。
弥生、なんか歌ってみるか?」

「えっ・・・?!
歌えないよ」

「俺の曲やったら知ってるから歌えるやろう?」

「えっ・・・?!
yasuさんの曲、歌うの?!」

「たしか、弥生の目の前にメモ書きされた詞がおいてないか?」

「あっ?!
おいてある。
それもyasuさんの直筆で」

「曲流すから、歌ってみ」

「え・・・?!
歌うの?!」

「ちょーどええから、歌ってみたら?」

「yasuさんの曲を私が今から歌うの?!」

「そうやー」

「カラオケでしか歌ったことがないから、ムリだよ」

「カラオケと同じやて」

「でも・・・。
yasuさん本人目の前にして歌うの?」

「ええから歌ってみ?
曲流すから」

マジでyasuさんの目の前で歌うの?!

緊張するよ?!

ガラス越しにはyasuさん本人がいるし?!

なんちゅー無茶振り?!

これは、yasuさんのイジメだ?!

弥生はしかたなくyasuの曲を歌った。

スタジオのスピーカーから弥生の歌声を聞いたyasuは想っていた。

やっぱり、弥生の夢は歌うことなんやろうなー。

あんなに生き生きとしてる弥生の目は見たことがない。

弥生は歌ってる時が幸せなんやろうなー。

その弥生の思いを叶えることが出来るのは、俺や雄祐じゃない。

弥生自身しかいない。

弥生がそれに気づいた時、俺や雄祐から遠のく存在になってしまう気がする。

そう思うと、今の弥生を失いそうで怖い。

歌い終わった弥生にそれとなく言った。
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