水没ワンダーランド
キーンコーンカーンコーン。
授業の終了を告げる鐘が鳴る。
「じゃ、今日はここまでな」
国語教師はあっという間に教卓の上を片付けると、さっさと教室を出ていく。
緊張が解かれて、
とたんにざわめく教室。
「那智ー、腹へったから購買行こうぜ……って怖!!なにお前そんな怖い顔してんだよ?!」
大あくびをしながら、那智に話しかけた山本は大げさに飛び退いた。
「…俺、怖い顔してた?」
「してたしてた。何?なんか嫌なことあったワケ?」
嫌なこと。大いにあった。
色が消えたなんて言ったら、山本は驚くだろうか。
それよりもまず信じてくれるだろうか?
「…なんにもねえよ。俺も購買行く」
那智は席を立つ。
(忘れよう、今のは)
もし本当のことを言ったとしたら、
腹をかかえて転げまわった上に、
散々那智をバカにして、
どさくさにまぎれて女子をナンパするであろう、友人・山本を想像して
那智は今の怪奇現象を「忘れる」ことに決めた。
現実のわけがない、あんなこと。
授業の終了を告げる鐘が鳴る。
「じゃ、今日はここまでな」
国語教師はあっという間に教卓の上を片付けると、さっさと教室を出ていく。
緊張が解かれて、
とたんにざわめく教室。
「那智ー、腹へったから購買行こうぜ……って怖!!なにお前そんな怖い顔してんだよ?!」
大あくびをしながら、那智に話しかけた山本は大げさに飛び退いた。
「…俺、怖い顔してた?」
「してたしてた。何?なんか嫌なことあったワケ?」
嫌なこと。大いにあった。
色が消えたなんて言ったら、山本は驚くだろうか。
それよりもまず信じてくれるだろうか?
「…なんにもねえよ。俺も購買行く」
那智は席を立つ。
(忘れよう、今のは)
もし本当のことを言ったとしたら、
腹をかかえて転げまわった上に、
散々那智をバカにして、
どさくさにまぎれて女子をナンパするであろう、友人・山本を想像して
那智は今の怪奇現象を「忘れる」ことに決めた。
現実のわけがない、あんなこと。