水没ワンダーランド

しかし、女の子の指が触れたとき。



バチン、と何かが弾けるような音がした。



「……ッ…!?」



脳天に、激痛が走った。

殴打されたというより、脳みそに直接電撃が放たれるような鋭い痛みとしびれる感覚。



「ちょっ……那智さん!そんな嫌な顔しないでくださいよー」



焦点が合わない。
景色が二重にも三重にもぶれる。


声が出ない。



「那智さん?」


頭の中が真っ白に塗り潰されていく。



「那智さん、大丈夫ですか!?那智さん!」



握られた手の感覚がだんだん曖昧になっていく。


まるで、過呼吸にでもなってしまったように。


呼吸がうまくできない。


(な、んで……)


同時に、那智の意識も徐々に薄れていった。
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