水没ワンダーランド
那智は、下手くそなミルフィーユの絵の中間部分を指さす。


「俺らがいるこの世界は、ミルフィーユのパイ生地の一層でしかない」


「なんか…ミルフィーユに例えたほうが混乱しますよね」


「お、ま、え、が!例えたんだろ!」


「ちょっ……ペンはやめてくださいよ!?刺さないでくださいよっ」



しかし、状況は最悪だった。

那智たちが降り立ったこの“国”にはどうやらあの骸骨ケンタウロスの他、何もないようだ。



迷いこんだ人間も、
この世界の住人も。




このまま行く宛てなく途方に暮れていれば、すぐにまたあの骸骨ケンタウロスに追われることだろう。


今、三人はこの原っぱの国に閉じ込められたに等しい。


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