水没ワンダーランド
「誰かいないのかー?……チェシャ猫!スージー!」
那智の声が反響してやがて消えてゆく。
塵一つない真っ赤な絨毯に音が吸い込まれるようにして、静寂が那智を包む。
果てのないように見えるこの廊下を前に進むか、後ろに進むか。
狭所恐怖症なわけではないが、この狭い通路にたった一人取り残されたという感覚に那智は不安を覚えた。
「とりあえず歩くしか……」
那智が、振り向く。
振り向いたすぐ先に見えたものに、那智の思考回路がピタリと停止した。
「……」
立っていた。
得体の知れない
“動物”が、
那智のすぐ目と鼻の先に。
「こんにちは、お元気ですか」
動物がやけに機械染みた口調で、ぽつりと呟いた。
那智の声が反響してやがて消えてゆく。
塵一つない真っ赤な絨毯に音が吸い込まれるようにして、静寂が那智を包む。
果てのないように見えるこの廊下を前に進むか、後ろに進むか。
狭所恐怖症なわけではないが、この狭い通路にたった一人取り残されたという感覚に那智は不安を覚えた。
「とりあえず歩くしか……」
那智が、振り向く。
振り向いたすぐ先に見えたものに、那智の思考回路がピタリと停止した。
「……」
立っていた。
得体の知れない
“動物”が、
那智のすぐ目と鼻の先に。
「こんにちは、お元気ですか」
動物がやけに機械染みた口調で、ぽつりと呟いた。