寮の夜は甘い夜。
パートナー。





「いってきます!」




たくさんの荷物を持って足軽に家を後にする。


今日から私、星野由良(ほしのゆら)は花の高校生活!




人生で一番楽しい高校生活を横臥(おうが)してやろう、という意気込みの基(もと)。







私が通うことになる蔆花学園は、倍率が全国で一番高い。


その狭き門をくぐった私に立ちはだかるものは(今は)ない!




ぐあっはっは。




…とは言うものの、私は夜が苦手だ。







いや、正確に言えば、暗いのが怖い。






そう、これも私がここの蔆花(りょうか)学園を選んだ理由の一つ。






家では電気代が勿体無いと言われて夜付けっ放しにできず、怖い思いをした。






でも、寮なら!



私が電気をつけようが文句を言う人はいまい!




つまり、夜怖い思いをしなくて済むのだ!







この硬い決意のもと、私は立派に聳え立つ(そびえたつ)蔆花学園の校門にいた。







さあ、華々しい(はなばなしい)私の高校生活の幕開けよ!




< 1 / 106 >

この作品をシェア

pagetop