寮の夜は甘い夜。



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「ひなちゃーん。おおーい」




扉の外で呼びかけたら、意外と早くひなちゃんは出て来た。




寝起きっぽさは皆無、やっぱり楓がいるのかも。




早まる鼓動を無視して、あくまで自然と振る舞うように努める。




「えっと……暇だから来てみたんだけど」




「嘘モロばれ。楓くんならここにいるよ」




瞬時にバレたが、ひなちゃんに嘘は通用にないのは承知。




楓がいるとわかってむしろ心が踊った。

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