寮の夜は甘い夜。
結局部屋に連行され、楓の独壇場となってしまった。
「由良、好きだよ」
「……知ってる」
甘い甘い、蜂蜜のような日。
とろける蜜は熱く、身体に赤い斑点を。
愛撫する手の愛おしさはこれまでにないほどで、どうしたらいいのかと胸が騒ついた。
こんな苦しい感情を手放したく無いなんて、私もどうかしてる。
楓の髪が触れるたびに、疼く身体。
もっと触れていて。
そう思うのに、苦しいと身体が音を上げる。
重なる吐息が思考を濃霧に放り込み、その日の記憶はうろ覚えとなってしまった。
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「とゆーことで、俺たちは晴れて恋人同士となりました!」
「……由良渋りすぎ」
ひなちゃんのため息を聞くのは明日。
恥ずかしくてまともに顔を見られなくなるのも、明日。
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