寮の夜は甘い夜。





唇に違和感を覚える。









なんじゃ、これ。









時々動く唇の上の物体は、少し、熱を帯びていると思う。









そこまで考えて、答えがわかった。









「ん゛ー!!」









「ぷはっ、起きちゃったか。」









楓が息切れをしてるだと・・・?









私が腰が抜けるぐらい長いキスでも息を切らしていなかったのに。









どんだけしてたんだよ!









「ん〜、由良、顔赤いよー?」









「は?私が、顔、赤いの?」









「そだよ?自覚なし?」









楓の顔が至近距離にあると、なんだか目のやり場に困る。









「なんで目逸らすのさ。」









「あ、てか、今何時?」









無償に気になる。









「そろそろご飯の時間かな」









「え、もうそんな時間!?」









「うん。いっぱい寝たね」









「っどいて!私身支度しなきゃ!」









私の上で馬乗りになっている楓を退けると、急いで洗面所へと向かった。









「あら、洗面所、どこ?」









「こっちだよ。」









私が立っているところとは反対側に楓がいた。









「あ、そーだ、言おうと思ってたんだけど。」









楓がニヤリと笑うのにあんまりいいことではないと悟った。









「ここ、ベッド一つしかないよ?」




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