寮の夜は甘い夜。
「先、お風呂入るね」
「ん、どーぞ。」
お風呂を出ると、楓はよくわからないテレビ番組を見ていた。
「お風呂、出たよ。」
「ん。覗かないでね?」
「誰が覗くか!」
ヘラヘラと風呂場に向かう楓を尻目に、私も髪を乾かしに洗面所へと向かった。
「うぎゃあああー!」
「あれ、見にきたの?こないっていったのに。」
忘れてた。
洗面所は、脱衣所でもあるのだ。
急いで洗面所を出る。
楓の裸を見るとか、運悪すぎ・・・
楓がお風呂に入って、水音が聞こえると、恐る恐るまた、洗面所へと足を踏み入れた。
ふう、いない。
しっかし、いい感じの体格だったな。
は!
何を考えてるんだ、由良!
邪悪な考えを振り払おうと頭をブンブン振ると、まだ濡れている髪が顔に当たる。
これで、当初の目的を思い出した。
髪、乾かそう。
急いで髪を乾かすと、洗面所を後にした。
あー、私の脳裏が楓の裸体を離さない・・・
「わっ」
「ぎゃっ!」
え、な、え、な、なに!?
「っぷ。そんな驚く?」
どうやらさっきのは楓のおふざけだったらしい。
まったく。
腹立たしいったらありゃしない。
「さーさー、もう遅いから寝よーか。」
そう言って、楓は、急に、部屋の電気を、消した。