寮の夜は甘い夜。





「先、お風呂入るね」









「ん、どーぞ。」









お風呂を出ると、楓はよくわからないテレビ番組を見ていた。









「お風呂、出たよ。」









「ん。覗かないでね?」









「誰が覗くか!」









ヘラヘラと風呂場に向かう楓を尻目に、私も髪を乾かしに洗面所へと向かった。









「うぎゃあああー!」









「あれ、見にきたの?こないっていったのに。」









忘れてた。









洗面所は、脱衣所でもあるのだ。









急いで洗面所を出る。









楓の裸を見るとか、運悪すぎ・・・









楓がお風呂に入って、水音が聞こえると、恐る恐るまた、洗面所へと足を踏み入れた。









ふう、いない。









しっかし、いい感じの体格だったな。









は!









何を考えてるんだ、由良!









邪悪な考えを振り払おうと頭をブンブン振ると、まだ濡れている髪が顔に当たる。









これで、当初の目的を思い出した。









髪、乾かそう。









急いで髪を乾かすと、洗面所を後にした。









あー、私の脳裏が楓の裸体を離さない・・・









「わっ」









「ぎゃっ!」









え、な、え、な、なに!?









「っぷ。そんな驚く?」









どうやらさっきのは楓のおふざけだったらしい。









まったく。









腹立たしいったらありゃしない。









「さーさー、もう遅いから寝よーか。」









そう言って、楓は、急に、部屋の電気を、消した。




< 15 / 106 >

この作品をシェア

pagetop