寮の夜は甘い夜。
「楓、学校行かないの?」
「時間ギリギリに行くよ」
「あ、そう。じゃ、先行ってるよー」
「はーい。いってらっしゃい。」
学校はやっぱりいつもと同じように構えてた。
「ひなちゃあああん!」
「由良!ね、部屋の構造教えてよ」
ひなちゃんに抱きつこうとすると、さらりとかわされて質問攻撃を受けた。
「え?部屋の構造?」
「ん?しらないの?最初部屋決めしたじゃん、手続きの時。」
「あー、手続き、ねー。それ全部楓がやったからなー」
「えー、そうなんだー。残念。
それじゃあやっぱ部屋はベッド2つ?」
「え、一つだよ?」
「はあああああ!?」
ひなちゃんが、怖い。
んー、しかし、ひなちゃんのこの様子だとベッドは2つの部屋があったみたいだけど。
くっそ!
また、騙された!
「え、じ、じゃあ、楓君がベッド1つを選んだってこと?」
「んまあ、そうなるね。」
「楓君・・・そっか、そうなんだあ。」
ひなちゃんが一人で納得してしまっている。
うむ。
なんかモヤモヤするなあ。
「ねーえ、何がわかったの?」
「え、それはあたしの口からは言えないわあ〜。本人から聞いてよねっ!」
「は、はあ。」
ひなちゃんのキャピキャピ感に負けた。