寮の夜は甘い夜。





「か、楓!?なんでいるの?」









「迎えにきたんだよ、由良が体育館で迷子にならないように。」









そう、か。









この人数では見つけるのは大変そうだしな。









でも、その周りにいる女の子達どうにかしてほしい。









心なしか睨まれてる気がするし。









ひなちゃんはパートナーの男子のとこ行っちゃうし。









うっ、楓といるとか辛いんだけど。









「おーい、由良?早く行かないと集会始まっちゃうよ?」









「あー・・・うん。」









楓に引っ張られるようにして体育館に着くと、女子が怖かった。









ヒソヒソと悪口を言われてる気がするな。









「楓くーん、よかったら今日、私たちの部屋で遊ばない?」









うお、女の子達も積極的だな。









ちくん、と胸が痛んだ気がするけど、そんなことあるはずがない。









「ごめんね、俺由良といたいから。」









うれしい。









・・・うれしい?









うれしい!?









どうしたんだ、由良!









ちょっと今日はおかしいぞ!









「静粛に!」









先生の一言で集会は、はじまった。









私の心はモヤモヤしたまま。









「寮では、パートナーの人と行動するのが基本です。









例外もありますが、学校行事などもそうなります。」









え?









ちょ、ちょっと!









うへっ、マジかよ









それ、また視線が痛い。









楓はこういうのに気がついているんだろうか?




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