寮の夜は甘い夜。





そして、とうとう夜がきてしまった。









楓はあれからご機嫌で、今も鼻歌を歌っている。









「さあさ、由良、寝ようか。」









「うっ・・・はーい。」









断ろうにも適当な理由が思いつかない。









なにせ、もうそろそろ明日になる。









こんな遅くまで電気ついてるのってここくらい?









とにかく、消灯の時間はもうとっくに過ぎてる。









仕方なく布団に入ると、部屋が真っ暗になった。









「ひっ・・・」









やっぱ耐えらんない。









こんな怖いの、無理だよ・・・









ギュッと硬く目を瞑ると、楓の声が聞こえた。









「由良?大丈夫だよ。









俺が今から怖いの忘れさせてあげる。」









なんかそっちも怖い!









うわあ、目瞑ってても楓の顔が想像できちゃう。









布団の右側が動いたと思うと、温かいものが私の身体を包んだ。









うん、ちょっと安心するかも。









「キスして寝られちゃ困るからね。」









楓はそういうと、軽く唇にキスを落とした。









寝られちゃ困るってどうゆうことよ?









なんか、もう楓がよくわかんない。









そっと嘆息したのもつかの間、横を向いていた身体が仰向けになった。









「えっ?・・・楓?」









「なーに。俺、今歯止め効かないかもしんないから。」









「えっ、ちょ、ひゃっ!?」









楓が首筋にキスをした。









ちょっとチクッてしたんだけど、なんだろう?









ってゆうか、そうゆうことじゃなくて!









歯止めが効かないって、どうゆうこと?









もしかして、あんなことやそんなことを・・・









ま、まさか、ね。




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