寮の夜は甘い夜。
「と、とにかく!私、今日は遊んでくるから!」
「・・・誰と?」
楓の顔が急に険しくなった。
声も1オクターブ低くなった気がする。
なんなのよ、もう。
「一人、だけど。」
「なにすんの?」
「集会で言ってた、お散歩コースとちょっとした森林に行く。」
「なら、俺も行くから。」
「はっ!?なんでよ!」
「別にいーだろ?一人なら。」
楓が私をまたギュッと抱きしめる。
そして、首元に顔をうずめた。
「は、離して!」
私は楓を無理矢理引き剥がすと、身支度をするという名目で楓から離れた。