寮の夜は甘い夜。
とりあえず、楓をつれて、部屋をでると、すぐに女の子たちに囲まれた。
楓が。
何人かは私のことを睨んでいたけど、知らないふりをしたからきっと大丈夫だろう。
「ねぇ〜楓君?これから私達と一緒に遊ばない?」
楓はどうやら女の子たちからデートを申し込まれてるらしい。
私が、一緒より、この子達のがいいだろうな。
この子達のが可愛いし、私みたいのとは大違い。
やっぱ、ここは譲るべきなんだろうな。
「楓、行ってきなよ。」
「え?あ、ちょっ!」
「同室の子、ありがとうねえ〜」
なんでだろ?
なんか、涙腺が緩んでる。
私が、いいよって言ったのに、私が泣くなんて可笑しいじゃない。
泣いちゃ、ダメ。
頬をぺちっと叩くと、深呼吸をして寮の外へと出た。