寮の夜は甘い夜。
「それで、どこいくの?」
「とりあえずお散歩コースとちょっとした森林に行こうかと。」
祐司は私の右隣をキープしていた。
ちなみに今はもうお散歩コースを歩っている途中だったりする。
お散歩コースは私たちが今歩っている一本道のレンガの小道と、その両脇に生えている木々で構成されていた。
これは、ちょっとした森林に行かなくても十分森林浴がてきそうだ。
「あのさ、ちょっと聞いていい?」
「どうぞ。」
「ぶっちゃけ、楓くんとどうゆう関係?
キスマークついてるってただのパートナーってわけじゃなさそうだしね?」
うっ、痛いところを突くな。
「別に、ただのパートナーですよ。」
私は、何故か自分の言葉で胸が締め付けられていた。
「ふーん?楓くんのこと好き?」
「かっ、楓なんか!
楓なんか恋愛対象じゃないもん!
好きになるはずがない!」
咄嗟(とっさ)にそう言い返したものの、実は私もよくわからない。
好きなのだろうか、いや、好きじゃないと思うけど。
好きじゃ・・・・ないよね?
「あのさ、この際だから言っとくけど、俺由良の事好きだから。」
「・・・・はあ!?」
祐司の口からサラッと流れ出た言葉は、私には到底信じられそうにない。
だって、話したのも今日がはじめてだし、ましてや、こんなモテそうな祐司。
女子が放っておくわけないのに。
「俺、由良の事狙ってるから。
そこんとこよろしく。」
「それ、私にいうことじゃないよね?」
「ま、知っといてもらった方が齟齬(そご)もうまれないし。
ちゃんと意識してくれるでしょ?」
「意識しないわけにはいかないじゃん。
私告られたのはじめてだよ?」
そう、言ってから気がついた。
楓も、私のこと好きって・・・
「あれ、由良顔赤い。なに、照れちゃった?」
「・・・違う。」
祐司じゃ、ない。
相当失礼だけど。
違うし。
赤くなったのは、楓を思い出したからで。
楓、本当に、私のこと好きなのかな。
イマイチ信じられないっていうか・・・