寮の夜は甘い夜。
とうとう最終日の放課後。
未だに決まらず焦って廊下を歩いていると、
「ね、ねえ、君、ペア決まった?」
話しかけてきたのはシマウマみたいな草食系男子。
「あなたは『電気つけっぱおっけー男子』ですか!」
「あ、ご、ごめん、お取り込み中だった?」
「あ、ちょっと!あなたは『電気つけっぱおっけー男子』なんですかー!」
シマウマ君は私の質問に答えてくれず、急いでどっかに行ってしまった。
まったく。
シマウマにも程がある。
私が廊下で一人憤慨していると、女子の話し声が聞こえた。
どこかにヒントはないものかと耳を澄ませて内容を聞き取る。
盗み聞きなどではない、断じて。
「楓君、カッコいいよねー」
「ねっ!ペアは初日から決まってたみたいだし、残念だなあ」
「やっぱ学園の王子様となれば、ねー」
ペア決まってるんじゃダメじゃん!
…おっと、1人でツッコミしている場合じゃなかった。
…ちなみに、もう金曜の放課後だったりする。
どうしよう…。
このままじゃ本当に退学だああ!
いや、ひなちゃんの為にも私、退学になんてならないんだから!
ここでふと、担任の言葉を思い出した。
「視聴覚室」
おっと、我ながらまたまたの不覚!
はやく行かないと!