寮の夜は甘い夜。
ガラガラガラッと戸を開けて入ったはいいものの…。
誰もいない!?
な、なんで?
もうみんなペア決まっちゃってるの?
どうしよう…。
嫌だよ退学なんて
私が頭を抱えて悶々と悩んでいると、ガラガラガラッと扉が開く音がした。
ああ神様女神様仏様
どうか私に男子を恵んでください…。
こ、この際、『電気つけっぱおっけー男子』じゃなくてもっ…。
「んあ?一人だけかよ」
聞こえてきたのは男の人の声。
よっしゃきた!
これはペア、つくれるパターン?
「なに、頭抱え込んじゃってなにしてんの?」
「うぎゃあ!」
不意にした声とともに、なかなかのイケメンが私の顔を覗き込んできた。
びっくりして叫ぶと、そいつは嬉しそうな顔をした。
これは、ひなちゃんには悪いけど、両想いの滝沢くんよりイケメンだな。
「色気のねえ声」
…色気がないのは認めるけど。
ちょっと口の悪いのが難点?
「なあ、お前。ペア決まってないんだろ?俺とペア組まないか?」
「く、組む!」
「ん、いい返事だ」
そう言ってそいつは満足そうに頷いた。
や、やった…!
ペア、組めたよ…!
ひなちゃあああああああん!