寮の夜は甘い夜。
「さーて、退学を免れたところで、質問あるんだけど」
ただの男子君は首を少し傾げて見せた。
可愛い…。
…というか、あざとい?
とりあえず頷くと、妖艶な笑みを浮かべた。
反射的に胸が高鳴ったが、これは胸の勘違いだという事にしておこう。
「じゃ、遠慮なく。
まずはクラスと名前、だね」
「4組の星野由良です」
「ふうん。彼氏、いた事ある?」
なんでそんな事聞くんだろ。
答えなきゃ、ダメ、かな。
「ない、けど」
「じゃあ、まだキスもした事ないの?」
なんだこいつ!
人のプライベートゾーンに勝手に…!
「っ、だから?」
「ほおー、今時珍しい」
意味わかんない。
なんで嬉しそうなの?
私のダメさに呆れを越して、とか?
いやいやいや、いくらなんでもそれはないハズ。
んー、もうよくわかんないや。
「じゃあ、取られないうちに俺が貰うよ?」
「……へ?」