寮の夜は甘い夜。
「なあ、お前…やっぱ裕司とデキてんの?」
引きずられるようにして部屋に戻ると、楓はベッドに腰掛けて私をジッと見つめた。
「……違う」
楓の視線に耐えられなくなって俯く。
なぜか、こんな誤解をされるのが堪らなくイヤだった。
「………じゃあなんであんなところで堂々としてんだよ」
「あれはッ…」
バッと顔を上げて楓を見ると、ものすごく怒っていた。
下での会話を思い出す。
堂々巡りだな。
こんなんじゃ楓の誤解は解けないのかも。
どうすれば、誤解が解けるんだろう?