寮の夜は甘い夜。
「いただきますっ」
ご丁寧にも手を合わせて言うと、そいつは私のファーストキスを奪った。
「んっ!?」
「声、でちゃってるね?誘ってるの?」
い、意味わかんない
なんでこんな事をなってるの?
誘ってるとか…ふざけてるでしょ。
なんだか頭がガンガンいうし、クラクラしてきた。
酸素が、足りてない。
心臓の音もやけに大きく聞こえる。
「.....っぷはぁ」
ホント、なんなんだこいつ…。
「んじゃあ、由良、これからよろしくね?」
「え?あ、ちょっと!」
そいつは何故かそそくさと視聴覚室を出て行ってしまった。
自分からキスしたくせに、何あの態度…!
ってか、キスしちゃったよ…。
私のファーストキスが、あんなカタチで。
ってゆーか、あいつと一年間同じ部屋で暮すの?
ムッ、ムリムリムリムリムリ!
キス魔じゃん!
一緒にいたら喰われちゃうよ!
ど、どうしたらいいの…?