寮の夜は甘い夜。
「由良、上向いて」
その合図が何なのかは嫌でもわかる。
「やだよ、キスするんでしょ?」
「じゃあ俺、ソファで寝る」
速攻で顔を上げた。
楓の顔がドアップで、視界いっぱいに広がる。
甘い吐息が、顔にかかって、多分私もかけてしまっているのだろう。
…恥ずかしい。
「まだしてないじゃん。なに赤くなってんだ?」
「…うっさい。楓にこの気持ちはわからないよ」
楓の手が頬を撫でて、その位置で固定された。
「………っん」
今までで一番甘い、とろけるようなキス。
ついばむように時折角度を変えて、何回も、キスをする。
そして、楓の舌が口の中に入ってきた。
舌を絡めるように長く伸ばすから、キスはさらに深くなっていく。
頭の芯がぼおっとしてくると、楓は察したように顔を離した。
「俺が満足するまで絶対、眠らせねえ」