寮の夜は甘い夜。



=ジリリリリリリリリ=





「…うるさい。由良、早く止めてよ」





「………離してくれなきゃ無理です」








昨夜の気を失う程の甘い時間から解放されたものの。





ガッチリと捕らわれたままの、身体。





「…ていうか!今日学校!はやくどいてよ!」




「朝から吠えるなよ。耳がキンキンする」





楓はそう言うと耳を両手で塞いだ。





その瞬間を逃さない私は、素早くベッドから離れると、イーッと牙を剥いた。





「大袈裟ですー!そんなに大きい声出していませんー」





そう言って、制服を持ち脱衣所に逃げ込んだ。





鍵を掛けたのを確認すると、服の上から首筋を見る。




「うわっ、やっぱくっきり残っちゃってる」





制服を着て第一ボタンまで閉めて、髪を下ろして、なんとか見えないようにしたけど。





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