寮の夜は甘い夜。
「……え、由良真面目さんデビュー?」
脱衣所から出てきた私を見て、楓がポカーンと口を開けた。
それもそのはず。
ボタンだけはおかしいと思って、やけ気味に模範優等生の格好。
髪こそ三つ編みじゃないものの、それは仕方ない。
本来の目的はキスマークを隠すことにあるのだから!
ちょっとやりすぎた気もするけど、やけになってる私には元のスタイルに戻るなんていう選択肢はなかった。
「楓のせいだからね」
「俺なんかしたか?」
尚もポカーンとしたまま、パジャマ姿の楓を放って、部屋をさっさと出る。
朝食をとったら直行で学校だ。
楓とはクラスが違うから、学校に行ってしまえば会う危険性は大幅ダウン!