寮の夜は甘い夜。
そんなこんなで昼休み。
「おい由良。なに裕司と食ってんだよ」
教室のドアの前で不機嫌そうにこっちを見ている、楓。
不機嫌オーラはそれはもうマックスで目も合わせられないほど。
そうなる原因を作ったのは紛れもない私。
だからこそ、居心地が悪いことない。
ただでさえイケメンな楓が教室にいるだけで騒がれるのに、その上を行く行動で、教室は静まり返っていた。
…一つ、言い訳をさせて欲しい。
私は決っして裕司と二人で食べていたワケじゃない。
ひなちゃんと両想いの滝沢くんと、4人で食べていた。
なのにあの不機嫌さはなに。
背筋に冷たい汗が伝ったみたい。
この緊張感、尋常じゃないよ。
「なあ、由良?」
楓がゆっくりと近づいてくる。
こわいこわいこわいこわいこわい。