寮の夜は甘い夜。
「………由良」
「あー、起きた?」
ううん、と伸びをして、ゴロゴロとベットの上を行ったり来たりしている。
ベッドの方に行くと、楓は背中を向けたまま動かなくなった。
「ねえ楓。寝不足なの?」
ベッドに腰をかけて、なんの気は無しに尋ねる。
枕って硬かったっけ。
「…そうだな。寝不足だよ、由良のせいで」
「え、私?」
「好きな子が目の前で寝ててさ、普通にそのまま寝られるほど鋼の精神は持ち合わせてないんでね。理性を抑えるので手一杯。寝られないよ」
えっと、つまり…。
「一緒に寝なきゃいいじゃん」
「由良、バカなのか?そんなこと出来るワケないだろ」
ブン、と振り返って詰め寄る楓は…寝ぼけてる?