寮の夜は甘い夜。
「こんなチャンスを逃すなんて出来るかっての」
「いや、でもさ…。一年間寝不足が続くのは良くないんじゃない?」
「等価だから仕方ない。でも、そうだな…」
楓はふと、考え始めた。
時計の一秒感覚にカチカチいう針の音が、いやに耳に付く。
「………襲うか」
ポツリと呟いた声。
その言葉の意味する行動。
つまり、抑えなきゃいいという…。
「やだよ!私が死んでもいいの!?」
「たかが本能を解放しただけで死ぬわけないだろ。俺が寝不足で倒れるよりよっぽどだ」
「………もうダメだ、私、さよなら」
長時間息を吸えないで生きていられるハズがない。
今日で私は死んじゃうんだ。
ぐっばい、私。