寮の夜は甘い夜。
「おはよー」
結局食堂でも楓には会えなくて、学校。
楓は別のクラスなんだよなあ。
「あれ、由良元気ないんじゃない?」
ひなちゃんが嬉しそうに言った。
案外Sだ。
「そんなことないよ、まだ慣れないだけ」
「そんなこと言ってー。寂しいでしょ?降参すれば楓くんに会えますよー?」
「寂しくないもん!」
まだ、平気。
慣れてないだけだから、きっと。
…多分。
胸の内のモヤモヤを解消できないまま、無情にもチャイムは鳴り響いた。