花は花に。鳥は鳥に。
やっぱり……駄目だ。心の奥底で、もう一人の自分が叫んでいる。
もうこれ以上、誰かに嫌われるのは嫌だと。
密やかな囁きを届ける心のもっと奥まった場所に、本当のわたしがうずくまっている。
思い知ってしまったから。
わたしのした事は、誰もが嫌悪する。
過去の悪事を知られるのが怖い。
「……ごめん。あなただけ喋らせて、ズルいんだけど……やっぱり、無理。」
そのタイミングでおかわりのビールが届けられた。手を伸ばす気にはなれないけど。
あ。だけど、これもやっぱり嫌がられる態度じゃない?
どっちに転んでも嫌われるなら、思い切って言ってしまおうか?
だけど、やっぱり、話したらもっと嫌われるだろう。
あれこれ考えるうちに、ビールの泡はポツポツと踊り、グラスのふちへとせり上がっていく。それをぼんやりと眺めていた。
「あ、こぼれますで、」
「あ、やば、」
二人が同時に手を伸ばした。
ちょこん、と触れ合うだけで、お互いがびっくりして手を引っ込めて。
なんだろう、小娘みたいで我ながら呆れてしまう。
「どうぞ、気にせんと呑んでください。俺のしょーもない話に付き合って聞いてくれはっただけで、充分ですさかい。次は楽しく呑み直しですわ。」
先に気を取り直した平井君が、わたしの前へとジョッキを押し出した。
「う、うん。そうだね。ごめんね、わたしだけ、なんか……、」
「ええんですって。人に言えん悩みいうのは、俺かてよぅ解かりますもん。」
ぎこちなく伸ばした手は、今度はアクシデント抜きでグラスへと届いた。
淡い期待は、今度は起きなかった。
もうこれ以上、誰かに嫌われるのは嫌だと。
密やかな囁きを届ける心のもっと奥まった場所に、本当のわたしがうずくまっている。
思い知ってしまったから。
わたしのした事は、誰もが嫌悪する。
過去の悪事を知られるのが怖い。
「……ごめん。あなただけ喋らせて、ズルいんだけど……やっぱり、無理。」
そのタイミングでおかわりのビールが届けられた。手を伸ばす気にはなれないけど。
あ。だけど、これもやっぱり嫌がられる態度じゃない?
どっちに転んでも嫌われるなら、思い切って言ってしまおうか?
だけど、やっぱり、話したらもっと嫌われるだろう。
あれこれ考えるうちに、ビールの泡はポツポツと踊り、グラスのふちへとせり上がっていく。それをぼんやりと眺めていた。
「あ、こぼれますで、」
「あ、やば、」
二人が同時に手を伸ばした。
ちょこん、と触れ合うだけで、お互いがびっくりして手を引っ込めて。
なんだろう、小娘みたいで我ながら呆れてしまう。
「どうぞ、気にせんと呑んでください。俺のしょーもない話に付き合って聞いてくれはっただけで、充分ですさかい。次は楽しく呑み直しですわ。」
先に気を取り直した平井君が、わたしの前へとジョッキを押し出した。
「う、うん。そうだね。ごめんね、わたしだけ、なんか……、」
「ええんですって。人に言えん悩みいうのは、俺かてよぅ解かりますもん。」
ぎこちなく伸ばした手は、今度はアクシデント抜きでグラスへと届いた。
淡い期待は、今度は起きなかった。