花は花に。鳥は鳥に。
「運命なんて大袈裟なことは言わないわ。ちょっとした運。小石につまずく程度。その程度なんだから、ちょっと注意して歩けば、二度三度とつまずくこともないはずよ。そして、小石程度の失敗なんだから、いつまでも泣いてないで、立ち上がって歩き始めなさい。小石程度なんだから。」
小石、小石って言われると、ちょっと反抗しちゃうな。
でも、母の言う通り。
小石ほどの小さな偶然。それが積み重なっただけ。運命なんて、大袈裟なものじゃない。
一つのつまずきから、次々と選択肢を間違えた。そして取り返しがつかなくなった。
……ただそれだけ。
ため息をついた。
でもこれは今までのものとは違うため息。
前を向くためのおまじない。
「よしっ、がんばろっ、」
「そうよ、それでいいのよ。」
解かってるような、当てずっぽうのような、母の相槌も心地良かった。
とりあえず、紗枝のことは忘れる。
ごめん、紗枝。
フラッシュバックだ。
突然に甦る過去の記憶。
校庭のすみっこで、二人だけで砂の山を作ってひとしきり喋り続けてた。
話題がなんだったかなんてもう忘れてしまっている。
紗枝はいつも泣いていた。
あれは確か、小学生の頃。
わたしが転校したての頃で、そして、紗枝以外の友達が出来なくなった原因。
紗枝はいじめられていた。もともと他人を調子付かせてしまう性質の持ち主だから、本当に昔っから周囲には酷い扱いを受けている子だったんだ。
小学生なんて、野生のサルに毛が生えた程度の理性しかない。だから、遠慮も知らない。
クラス中から疎遠にされていた紗枝と、わたしも一括りに扱われるようになった。
それでも楽しかったんだよ、紗枝。
紗枝が居るから、他の子は要らないと思ってた。
二人だけの世界はわたしにとってはかけがえのないものだった。
小石、小石って言われると、ちょっと反抗しちゃうな。
でも、母の言う通り。
小石ほどの小さな偶然。それが積み重なっただけ。運命なんて、大袈裟なものじゃない。
一つのつまずきから、次々と選択肢を間違えた。そして取り返しがつかなくなった。
……ただそれだけ。
ため息をついた。
でもこれは今までのものとは違うため息。
前を向くためのおまじない。
「よしっ、がんばろっ、」
「そうよ、それでいいのよ。」
解かってるような、当てずっぽうのような、母の相槌も心地良かった。
とりあえず、紗枝のことは忘れる。
ごめん、紗枝。
フラッシュバックだ。
突然に甦る過去の記憶。
校庭のすみっこで、二人だけで砂の山を作ってひとしきり喋り続けてた。
話題がなんだったかなんてもう忘れてしまっている。
紗枝はいつも泣いていた。
あれは確か、小学生の頃。
わたしが転校したての頃で、そして、紗枝以外の友達が出来なくなった原因。
紗枝はいじめられていた。もともと他人を調子付かせてしまう性質の持ち主だから、本当に昔っから周囲には酷い扱いを受けている子だったんだ。
小学生なんて、野生のサルに毛が生えた程度の理性しかない。だから、遠慮も知らない。
クラス中から疎遠にされていた紗枝と、わたしも一括りに扱われるようになった。
それでも楽しかったんだよ、紗枝。
紗枝が居るから、他の子は要らないと思ってた。
二人だけの世界はわたしにとってはかけがえのないものだった。