花は花に。鳥は鳥に。
二人バラバラで戻るとますます疑われかねないからと、いっその事で二人連れ立ってホテルへ戻った。
「なんで浴衣着替えたんだ? 勿体ない。」
「さすがに夜間なので防犯上の警戒をと思ったんですが、」
「気の回し過ぎだった、と。」
周囲を見回したわたしに、課長が台詞の後を予測して答えた。
ホテルの玄関口は煌々と明かりが灯って、まだまだ夜の宵口を思わせた。
けれど、玄関ホールの大時計の針は十時に近付いていた。
「寝る前にひと風呂浴びたかったんだ、」
課長はいきなりお店を出てきた理由をここで明かした。
外湯も内湯も、だいたいは十一時までになっている。
課長と別れて、わたしも割り当ての客室へ戻った。
寝たと思った敬子がぶーたれて布団の上で待ち構えていた。
「なによぉ! 置いてくなんてヒドイじゃない!」
「えー。だって、敬子、酔っ払って潰れてたじゃん。」
「引きずってけば途中で目が醒めたかも知れないでしょ!?」
「そんな無茶苦茶な……、」
よく聞けば支離滅裂な会話。
途中でいきなり敬子が「あっ!」と声を上げた。
「お風呂! ちょっと、今、何時よ!?
あたし、絶対、寝る前に最後にお風呂入るって決めてたんだから!」
「大丈夫よ、まだ充分余裕あるって。」
「じゃあ、付き合いなさいよ。」
わたしはもうさっぱりしてきました、とは空気が言わせてくれなかった。
わたし、今夜だけで何回お風呂入るんだろ。
ふやけるよ、さすがに。
「なんで浴衣着替えたんだ? 勿体ない。」
「さすがに夜間なので防犯上の警戒をと思ったんですが、」
「気の回し過ぎだった、と。」
周囲を見回したわたしに、課長が台詞の後を予測して答えた。
ホテルの玄関口は煌々と明かりが灯って、まだまだ夜の宵口を思わせた。
けれど、玄関ホールの大時計の針は十時に近付いていた。
「寝る前にひと風呂浴びたかったんだ、」
課長はいきなりお店を出てきた理由をここで明かした。
外湯も内湯も、だいたいは十一時までになっている。
課長と別れて、わたしも割り当ての客室へ戻った。
寝たと思った敬子がぶーたれて布団の上で待ち構えていた。
「なによぉ! 置いてくなんてヒドイじゃない!」
「えー。だって、敬子、酔っ払って潰れてたじゃん。」
「引きずってけば途中で目が醒めたかも知れないでしょ!?」
「そんな無茶苦茶な……、」
よく聞けば支離滅裂な会話。
途中でいきなり敬子が「あっ!」と声を上げた。
「お風呂! ちょっと、今、何時よ!?
あたし、絶対、寝る前に最後にお風呂入るって決めてたんだから!」
「大丈夫よ、まだ充分余裕あるって。」
「じゃあ、付き合いなさいよ。」
わたしはもうさっぱりしてきました、とは空気が言わせてくれなかった。
わたし、今夜だけで何回お風呂入るんだろ。
ふやけるよ、さすがに。