花は花に。鳥は鳥に。
「さぶっ、」
さすがに廊下に長時間居座れば、身体が冷えて足元から寒さを感じだす。
他はダイレクトメールだ、削除は明日に回して階下へ降りた。
一応、ホテルの営業は十一時までで、内湯もそれで閉められるから玄関も一緒に閉まったようだった。
ロビーはさすがに誰も居なかった。
施錠がされて、シャッターの降ろされた玄関口は真っ暗だった。
勝手口だけがポツンと明りを灯していて、夜中に出掛けた不良中年達はインターホン越しに開錠を頼むのだ。
案内だと、確か一階の奥にバーがあって、そこは午前零時まで営業しているはずだ。
呑みたい気分の日というものがあるとしたら、わたしにとっては間違いなく今日だ。
課長と意気投合して、楽しいお酒を呑んだだけでは終われなかったらしい。
旅行に来てホテルの施設で済ませてしまう客というのは少ない。
ネオンは侘しく灯っていた。
ひっそりと寝静まった館内の片隅で、その場所もいつ明りを消しても不思議じゃない佇まいだった。
客室の造りとはあえて違うデザインのオーク調の扉を押し開いた。
「いらっしゃいませ、」
仄かなライトに染められた店内は落ち着いた雰囲気だ。
カウンターの中で年老いたママがわたしに向かって微笑んでいた。
十一時を少し回っている。
外湯でもっと時間を取ったと思っていたけど、そうでもなかったようだ。
ほんの一杯、薄い水割りでも呑めばそれで満足する。
わたしはそろりとカウンターの席に座って、ママに水割りを注文した。
そのタイミングで、またドアが開いた。
「あら、紗江ちゃん。また逢うたなぁ。」
「こんばんわー。いや、紗江ちゃんやー。」
そこには件の叔母さんと、その娘の麻由美ちゃんが立っていた。
奇遇というか、なんというか。
どんな顔をしていいのか、わたしは変顔になって笑ってたと思う。
さすがに廊下に長時間居座れば、身体が冷えて足元から寒さを感じだす。
他はダイレクトメールだ、削除は明日に回して階下へ降りた。
一応、ホテルの営業は十一時までで、内湯もそれで閉められるから玄関も一緒に閉まったようだった。
ロビーはさすがに誰も居なかった。
施錠がされて、シャッターの降ろされた玄関口は真っ暗だった。
勝手口だけがポツンと明りを灯していて、夜中に出掛けた不良中年達はインターホン越しに開錠を頼むのだ。
案内だと、確か一階の奥にバーがあって、そこは午前零時まで営業しているはずだ。
呑みたい気分の日というものがあるとしたら、わたしにとっては間違いなく今日だ。
課長と意気投合して、楽しいお酒を呑んだだけでは終われなかったらしい。
旅行に来てホテルの施設で済ませてしまう客というのは少ない。
ネオンは侘しく灯っていた。
ひっそりと寝静まった館内の片隅で、その場所もいつ明りを消しても不思議じゃない佇まいだった。
客室の造りとはあえて違うデザインのオーク調の扉を押し開いた。
「いらっしゃいませ、」
仄かなライトに染められた店内は落ち着いた雰囲気だ。
カウンターの中で年老いたママがわたしに向かって微笑んでいた。
十一時を少し回っている。
外湯でもっと時間を取ったと思っていたけど、そうでもなかったようだ。
ほんの一杯、薄い水割りでも呑めばそれで満足する。
わたしはそろりとカウンターの席に座って、ママに水割りを注文した。
そのタイミングで、またドアが開いた。
「あら、紗江ちゃん。また逢うたなぁ。」
「こんばんわー。いや、紗江ちゃんやー。」
そこには件の叔母さんと、その娘の麻由美ちゃんが立っていた。
奇遇というか、なんというか。
どんな顔をしていいのか、わたしは変顔になって笑ってたと思う。