花は花に。鳥は鳥に。
なぜ祐介にちょっかいを掛けたのか。
そんなの、自分でもよく解からない。
ううん、嘘。
解からないわけない、自分の心を自分で解からないなんてのは、狡い嘘だ。
動機の無い犯罪なんてない。
紗枝が遠くに去っていくような気がして、それで祐介を使ってつなぎ止めようとした。
彼に、仲介になってもらおうと思っていた。
下心があって近寄った。
彼自身とどうこうなんて、最初は思ってなかった。
……不安は感じていたかな。
だけど、ナメていたんだと思う。
自分自身の貞操にも、紗枝への思いにも、過信があった。
紗枝に甘える気持ちがあった。
この時はまだ、祐介のことをカケラも愛してなどいなかった。
「ごめんね、急に呼び出したりして。」
自分でも猫なで声だと思っていた。
探るような互いの視線が妙におかしかった。
祐介は、この頃は確か、少し長めのカットにして髪を明るい茶色に染めていた。
紗枝の好みに合わせたのだ。
さりげない所で努力はしていたけど、紗枝に通じているかと言えば微妙だった。
一目惚れなんて、そんなものはないのよ。
最初は打算。
ちょっとイイな、程度の感情を惚れた腫れたとは言わない。
友達のカッコイイカレシ、その程度の思いが最初の最初。
充分、距離を置こうと思えば置くことができたし、深入りせずに済んだはず。
わたしの意思で踏み込んだ。
裏切りは、避けようがない運命なんかじゃなかった。
誤魔化すのはズルいでしょう?
反省しているから、本当のところを抉っていく事が出来る。
計算が外れて、焦っていく期間は確かにあった。
徐々に好きになっていく心を、自覚していた。
「あたしは紗枝の友達として、ちゃんと聞いておかなくちゃいけないって思ったのよ。」
「なにを?」
祐介は、予想がついていたみたいで、酷く警戒心を露わにしていた。
「あなたの悪い癖について。本当のところ、どうなの?
紗枝のこと、大事に思ってくれてないの?」
こんな風に聞いて、素直なところを話す男なんているわけない、そう思ってた。
祐介はひどく苦しそうな顔をした。
「他人からはとてもそうは見えないだろうけど、俺が本気なのは紗枝だけだ。」
その告白は、裏側で、他のすべての浮気相手は遊びだと宣言していた。
「じゃあ……、他はなんだっていうのよ?」
言い訳にしても酷過ぎると思った。カチンときた。
遊びだったら許されると思っているのだろうか。
わたしは待ち合わせ場所だった喫茶店の、カレシの前に陣取って席に座っていた。
そんなの、自分でもよく解からない。
ううん、嘘。
解からないわけない、自分の心を自分で解からないなんてのは、狡い嘘だ。
動機の無い犯罪なんてない。
紗枝が遠くに去っていくような気がして、それで祐介を使ってつなぎ止めようとした。
彼に、仲介になってもらおうと思っていた。
下心があって近寄った。
彼自身とどうこうなんて、最初は思ってなかった。
……不安は感じていたかな。
だけど、ナメていたんだと思う。
自分自身の貞操にも、紗枝への思いにも、過信があった。
紗枝に甘える気持ちがあった。
この時はまだ、祐介のことをカケラも愛してなどいなかった。
「ごめんね、急に呼び出したりして。」
自分でも猫なで声だと思っていた。
探るような互いの視線が妙におかしかった。
祐介は、この頃は確か、少し長めのカットにして髪を明るい茶色に染めていた。
紗枝の好みに合わせたのだ。
さりげない所で努力はしていたけど、紗枝に通じているかと言えば微妙だった。
一目惚れなんて、そんなものはないのよ。
最初は打算。
ちょっとイイな、程度の感情を惚れた腫れたとは言わない。
友達のカッコイイカレシ、その程度の思いが最初の最初。
充分、距離を置こうと思えば置くことができたし、深入りせずに済んだはず。
わたしの意思で踏み込んだ。
裏切りは、避けようがない運命なんかじゃなかった。
誤魔化すのはズルいでしょう?
反省しているから、本当のところを抉っていく事が出来る。
計算が外れて、焦っていく期間は確かにあった。
徐々に好きになっていく心を、自覚していた。
「あたしは紗枝の友達として、ちゃんと聞いておかなくちゃいけないって思ったのよ。」
「なにを?」
祐介は、予想がついていたみたいで、酷く警戒心を露わにしていた。
「あなたの悪い癖について。本当のところ、どうなの?
紗枝のこと、大事に思ってくれてないの?」
こんな風に聞いて、素直なところを話す男なんているわけない、そう思ってた。
祐介はひどく苦しそうな顔をした。
「他人からはとてもそうは見えないだろうけど、俺が本気なのは紗枝だけだ。」
その告白は、裏側で、他のすべての浮気相手は遊びだと宣言していた。
「じゃあ……、他はなんだっていうのよ?」
言い訳にしても酷過ぎると思った。カチンときた。
遊びだったら許されると思っているのだろうか。
わたしは待ち合わせ場所だった喫茶店の、カレシの前に陣取って席に座っていた。