初恋
泣いてる…?



うちの学校の子ではないことは確かだった。
多分、高校生。

まずうちの制服じゃないし、金髪。
こんな子、まずこんな田舎にいたら高校生でも目立つくらいなのに。
一体誰なのか…。



しばらくしても、女の子は立とうとしない。

「大丈夫ですか?」


あたしが声をかけるが応答なし。



どうやら泣いているようだった。


「トイレ、きたないから、立ったほうが…」
肩を震わせうずくまる彼女に、あたしは手首を持ち上げた、その瞬間。



生暖かい感触。


あたしの手は真っ赤だった。

その子の手首の血だった。



「…え…?」


パニックに陥った。

その時、女子トイレに入ってきたのは笹野だった。




「え、笹野…?」


笹野はその子の物であろうカバンとブレザーを持っていた。



そしてその後すぐに瀧澤が勢いよく入ってきてそのまま彼女を抱きしめた。
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