初恋
「お願い。瀧澤。
もう目の前から消えて。
勝手にさせて。
全部なかったことにして。
ここに転校してきたあの日から、すべて忘れて。」


彼女のその言葉で、あたしはピンときた。




この子、もしかして…








校門前に止めてあったタクシーに乗り込む彼女に瀧澤は叫んだ。

「待ってるから!
いつもの場所にいるから!!!」


彼女は瀧澤の叫びを無視したままタクシーのドアを閉めた。



「おい!神崎!!!」




やっぱり、そうなんだ。

神崎結衣。

学校中を風靡したあの転校生だ。




全く気づかなかった。
あまりにも変わり果てていたから。

清純なイメージの彼女はもういなかった。
それでもやっぱり可愛いことには間違いないけど、同一人物とは思えなかった。





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