初恋
転校してきて1ヶ月。

人見知りのわりにすぐに友達ができた。

1番最初に声をかけてくれて友達になったマナミは結衣のことを親友という。
親友ってよく分からなかったけど、こういうことを言うんだ。

それから少しして、タクヤと付き合い始めた。

女子の中で人気だったタクヤと付き合えたことは優越感もあったし、何より普通の恋愛をして普通の学校生活が送れることが嬉しかった。


中学生の恋愛なんて手を繋いで帰るとかたまに休日遊びに行く程度だったけど、そんな普通のことに幸せを感じていた。


何よりも、誰かに愛されるということが嬉しかった。



結衣は愛されない人間だと思っていたから。




タクヤとマナミと三人で遊ぶこともあった。
楽しくて仕方なかった。

これが幸せなんだと思った。






だけど、何か、満たされない。







満たされたことなんて、生まれてから一度でもあったのかな。

心から笑えたことなんてあったのかな。



何かいつも足りない気がしてる。





飽き性なのかもしれない。
これが幸せだと思っていたのに、すぐに当たり前に感じてしまう。

つまらないとさえ思ってしまう。



学校ではマナミと笑って、
放課後になればタクヤが待っててくれる。

幸せなはずなのに、


平凡な毎日は嫌いだ。




きっとこれは結衣がおかしいんだ。




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