初恋
第二章 過去
2013年1月。
「千夏ー!!」
誰かがあたしの名前を呼ぶ。
「こっちこっち!」
駅のホームを出ると、車からひょっこり顔を出した笹野がいた。
あたしは五月の結衣のお墓参りぶりに東京からこっちに帰ってきた。
車の助手席に乗り込むと、後部座席には瀧澤もいた。
「なんでまたあんたもいるわけ?」
あたしは瀧澤を睨みつけた。
「まーまー!この度は結婚おめでとうございます!!!ってことじゃん!」
あたしの顔から笑みがこぼれた。
「まあ、結婚式はまだ先だけどねー。」
「うっせーな、素直に喜べよ。
おい笹野、おまえはこんな可愛くねぇやつと結婚していいのかー?」
「おめーが一番うるせーよ瀧澤。」
笹野のツッコミに車内は爆笑。
そう。あたしは安西千夏、いや、笹野千夏は笹野弘樹にプロポーズされたのだ。
というのも、いろいろあったのだけど。
あたしは高校を卒業して東京の大学へ行った。
医者になるための医大に合格したのだ。
そしてハタチのあたしの誕生日にプロポーズされたのだった。
あたしが大学を卒業したら籍を入れるはずだった。
だけどその2年後、結衣は他界した。
あたしも笹野も、どうしても乗り気になれずそのまま結婚の話は自然消滅のまま遠距離恋愛。
あたしはお盆とお正月だけこっちに帰り、それ以外は笹野の仕事が休みの時に笹野が東京に来てくれていた。
そして、最近、あたしのお腹に赤ちゃんが授かったのだ!!!
それがきっかけで、なくなっていた結婚の話を復活させたってわけ。
「式はいつ挙げるの?」
瀧澤は運転席と助手席の間から顔を出して聞く。
「この子が生まれて来てからだから、夏だね」
「予定日、五月の終わりだっけ?」
「そうそう〜。」
「そっか。それにしてもお前、仕事辞めたのになんで東京にいたわけ?」
「しなきゃならないことがあったの。」
「何それ?」
瀧澤は音楽のボリュームを下げた。
「あれ?お前しらねぇの?
千夏が帰ってこなかった理由。」
「なんにも知らねぇ。
普通に笹野と結婚したくなくなったのかと思ってた。(笑)
マリッジブルー的な?(笑)」
「バーカ。(笑)
こいつ、小説書いてるんだよ。」
「もーーー!!!
瀧澤にはサプライズにしたかったのにー!!!」
あたしは運転してる笹野の頭を軽く叩いた。
「小説?なんだそれ?」
「実はね、東京の結衣の家を整理してたら、結衣の日記帳を見つけたの。」
「へー。あいつ日記なんてつけてたんだ?知らなかった。」
「結衣が自分は死ぬって知ったその日から死ぬ一週間前までの日記だった。」
車内が一瞬静まり返った。
「千夏ー!!」
誰かがあたしの名前を呼ぶ。
「こっちこっち!」
駅のホームを出ると、車からひょっこり顔を出した笹野がいた。
あたしは五月の結衣のお墓参りぶりに東京からこっちに帰ってきた。
車の助手席に乗り込むと、後部座席には瀧澤もいた。
「なんでまたあんたもいるわけ?」
あたしは瀧澤を睨みつけた。
「まーまー!この度は結婚おめでとうございます!!!ってことじゃん!」
あたしの顔から笑みがこぼれた。
「まあ、結婚式はまだ先だけどねー。」
「うっせーな、素直に喜べよ。
おい笹野、おまえはこんな可愛くねぇやつと結婚していいのかー?」
「おめーが一番うるせーよ瀧澤。」
笹野のツッコミに車内は爆笑。
そう。あたしは安西千夏、いや、笹野千夏は笹野弘樹にプロポーズされたのだ。
というのも、いろいろあったのだけど。
あたしは高校を卒業して東京の大学へ行った。
医者になるための医大に合格したのだ。
そしてハタチのあたしの誕生日にプロポーズされたのだった。
あたしが大学を卒業したら籍を入れるはずだった。
だけどその2年後、結衣は他界した。
あたしも笹野も、どうしても乗り気になれずそのまま結婚の話は自然消滅のまま遠距離恋愛。
あたしはお盆とお正月だけこっちに帰り、それ以外は笹野の仕事が休みの時に笹野が東京に来てくれていた。
そして、最近、あたしのお腹に赤ちゃんが授かったのだ!!!
それがきっかけで、なくなっていた結婚の話を復活させたってわけ。
「式はいつ挙げるの?」
瀧澤は運転席と助手席の間から顔を出して聞く。
「この子が生まれて来てからだから、夏だね」
「予定日、五月の終わりだっけ?」
「そうそう〜。」
「そっか。それにしてもお前、仕事辞めたのになんで東京にいたわけ?」
「しなきゃならないことがあったの。」
「何それ?」
瀧澤は音楽のボリュームを下げた。
「あれ?お前しらねぇの?
千夏が帰ってこなかった理由。」
「なんにも知らねぇ。
普通に笹野と結婚したくなくなったのかと思ってた。(笑)
マリッジブルー的な?(笑)」
「バーカ。(笑)
こいつ、小説書いてるんだよ。」
「もーーー!!!
瀧澤にはサプライズにしたかったのにー!!!」
あたしは運転してる笹野の頭を軽く叩いた。
「小説?なんだそれ?」
「実はね、東京の結衣の家を整理してたら、結衣の日記帳を見つけたの。」
「へー。あいつ日記なんてつけてたんだ?知らなかった。」
「結衣が自分は死ぬって知ったその日から死ぬ一週間前までの日記だった。」
車内が一瞬静まり返った。