初恋
「瀧澤、千夏をかばうわけじゃねーけど俺からも言うよ。」


笹野も口を開いた。




「あいつの最後の言葉は、お前の名前だった。
神崎は死ぬ直前までお前を愛してたんだよ。」





笹野がそう言った瞬間瀧澤は泣き崩れた。




笑っちゃうよね。
こんないい歳した男が、結衣の話になればすぐ泣いちゃうんだもんね。



あたしは生まれてからずっと瀧澤と一緒に育てられたし、
瀧澤が引き取られてからもだいたいの瀧澤は見てきたけど、

あんたが泣く理由はいつも結衣のことだけだった。

それ以外ではどんなことでも泣いたことなんてないくせに。










あたしはふと、車窓から空を見上げた。


広がる星空。




「結衣、見ててくれてる?」








ねぇ、結衣。


確かに、あたし達に永遠はあったよね?


記憶が少しでも薄れないようにと、
結衣と過ごした八年間を小説にすることにしました。






結衣が残してくれた日記を頼りに。













日記帳は涙でグシャグシャになったそのページから始まっていた。



「瀧澤、千夏、笹野へ。
この日記帳をあなた達に託します。

ごめんね。ありがとう。大好き。
でも、ごめんなさい。
だから、バイバイ。」







これは、結衣からのメッセージ。
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