□□□□□□□セクシー・コメディ□□□□□□□「コンクリート・ジャングル」
小肥りで、髪の毛ベタベタで、爪に垢が溜まってて、ワイシャツの襟首が黒ずんでて、鼻毛が出てて。
あいつは自分のことをセクシーだと思ってる。
妻子あるクセに私に惚れられていると、
完全に勘違いしていた。
電話の男が卑猥なセリフを吐き、私は
「ああん…気持ちいい」と悶える。
ただ電話の前に座ってるだけだから、
ものすごい棒読みになってしまう。
…いかん……!
電話の向こうの空気が変だ。
こんなんじゃブチされてしまう….!
私は、服の上から自分で自分の胸をさすり始めた。
しかたない。
少しでも気分を出さないと、言葉に心がこもらない。
『どこが感じるの?』
「うう~ん…今、触ってるとこ〜」
『それじゃ分からないよ。
はっきり四文字で言って、ホラ』
「あは~ん、イヤ~、
そんなの意地悪ぅ…」
しかし、この会話をヨネダはしっかり
傍受しているわけだ。
あんなカカシみたいな若造に、私のエッチな声を聞かれるなんて、癪に触る。
しかも、冒頭にコノヤマのことを思い出したせいで、どうにも奴と会話をしている気になってしまう。
コノヤマのセクハラが始まったのは、退職する三ヶ月ほど前からのことだった。
きっかけを作ってしまったのは、私。