□□□□□□□セクシー・コメディ□□□□□□□「コンクリート・ジャングル」

恋人のケイタはアテにならない。


…そもそも、コイツ恋人っていうのか?という疑問。

付き合って二年も経つのだけれど。


もしかしたら、私の身体が目当てなのかもしれない。


頻繁に私の部屋に来ては、電気、ガス、風呂水、冷蔵庫、日用雑貨、ベッド、我が物顏に使いたい放題。

そのくせ、
「俺、実家暮らしだし。
俺の母親、お琴教室やっててすっげえ厳しい。うち、全部和室。
トイレも和式。俺、家でいつも正座してデスマス調で喋ってる」

とかなんとか、嘘くさいセリフを吐き、自分のフィールドには絶対私を寄せ付けないのだ。


ずるい、と責めたいけど、本当だったら困るので、放置していた。
(結婚するとなったら、ケイタの母親は頭の痛い問題だ)

外でのデートは気分を変える為のラブホか電器屋めぐり。


それでも、私はケイタを手離す気はない。


小さなプロダクションに所属する売れない役者の彼は、背が180センチ。

スラリとした小顔の、目元の涼やかな
『色男』なのだから。


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