淡色ドロップス
「なに、知り合いだったの?」
「知り合いってほどでもないけど、その…ドーナツ屋で席譲ってくれた人だった」
「え、ホントに!? そ、そっか……」
チラリ。
カナちゃんが私を心配そうな目で覗く。
「美緒。ここら辺でやめとく?」
「…ううん。もう少しだけ追っかける」
良心は痛むけれど、ここまできたらもうとことん見せ付けてもらいたい。
そうでもしてもらわなきゃ、諦めつかないもん。
「なあなあセンセーたちレジ済ましてっけど追わなくていいの?」
「わ、うそっ。もう少し追うってさ! でも美緒、辛くなったらすぐに言うんだよ」
サングラスを装着しながら気にかけてくれた言葉を、笑みで返す。