淡色ドロップス



瀬野くんの無造作に乱れた前髪から覗く瞳が私の首筋を捉えた。

「ちがう」

その部分をカプッと甘噛みされる。

「ぅ、」


反射的に出た言葉に頬が熱くなる。

その手から逃れたくて顔を背けた。


「朔があいつをその気にさせたこと」

……え。

あいつって、川口くん?


「うそ。誤解だよそれはっ。川口くんはそんなんじゃな…んっ」


最後まで言う前に塞がれる。

角度を変えながら舌を吸われて、私の気力や体力は一気に奪われていく。


「は、あっ」


息までもを乱れさすと、瀬野くんは器用に服の中に手を忍ばせる。


「う、く、くすぐった」

「そういうさ、僕にしか見せちゃダメな顔を、周りの男が見たくなるようなことして誘うのやめてよホント」

「ちが、っ、川口くんは……」

「朔の口からその名前聞きたくない」

と、吐息交じりに呟き、私の唇を塞いだ。



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