淡色ドロップス





「焦らさないでくれますか」

「無理です!」

「こっちは限界なんだけど」


言いながらワイシャツのボタンを全て外した瀬野くんは、もう一度私の上に覆いかぶさると、今度は優しく唇を塞いだ。


「…っ、」

執拗に舌が絡まり、頭も心も体も、全部蕩けてしまいそうな感覚に陥る。




「ベッドの上じゃ朔は僕に勝てないよ」

「ひゃ」


妖艶に笑う瀬野くんは私の弱い部分、即ち耳に唇を持っていくと、優しくキスを落とす。


「っ」

耳を両手で押さえているうちにガラ空きの胸元にもキスが落ちて、私は歯を食いしばる。


そんな私を胸元から上目遣いで見つめる瀬野くんは、余裕なさげに眉を寄せ、ふっと力なく笑った。








「もうさ、観念して僕に全部委ねてよ」








嫉妬に任せて壊したりしないから


そう付け加えた彼を前に、私は言葉通り観念し、全身の力を抜いたのだった。








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