淡色ドロップス
そんなムカつきが苛々へと変わり
つい佐伯にキツく接してしまう。
自分でもどうしていいか分からなかった。
ただ佐伯が俺を幼なじみというフィルター越しに見るあの眼差しがムカついて仕方がない。
「あ、中野!」
「、」
各教室のSHRが終わり、廊下は帰宅するもの、部活に行くもの、掃除当番といった奴らでごった返していた。
そんな中、背中越しに俺を呼ぶ声に足が止まる。
隣を歩いていた児玉は「部活だからここで」なんて言って先に階段を下りていった。
「由仁(ゆに)がSOS!」
「やだわ。俺は帰る」
突然の本題と中野の友達の気迫に溜息を漏らし、俺も少し遅れて階段を下り始める。
どうやらSHRをサボって一人でいつもの場所にいるらしい。
いつもの場所というのは
屋上に繋がる階段である。
いつもあそこにいるせいで今回も階段でうずくまっている佐伯が安易に想像できた。
毎度のことながらなんでアイツは後先考えずに告白するんだよ…。
「お願いっ!いつものように
由仁のこと慰めてあげてよ!」
「お前なあ、過保護すぎるのも大概にしとけよ。自己管理出来なくなって困るのはアイツだろ」
少し冷たく吐き捨てると
ぐっと唇を噛み締める中野の友達。