淡色ドロップス
喉元すれすれまで込み上げてきた言葉はあまりにも、気恥ずかしくて、柄にも無さ過ぎて
「なにさ」
「やっぱなんでもない」
とてもじゃないけれど言葉にできない。
俺じゃダメとか、なんだそれ…きっしょ。
自分のサムイ思いに、やるせなさを感じスッと立ち上がった。
「中野なかの」
「帰る」
「今日はチャック開いてないんだね」
「っ~~~」
「あ、赤くなった」
コイツはホント、腹立つ!
「……」
何か言うと、相手の思うツボな気がしたので、そのまま無言で階段を下りる。
バイバイ、なんて陽気な声出して手を振るものだから、途端にどうしていいか分からなくなって、べッと舌を出したらアイツは笑った。
その笑った顔を見ると、心なしかカラダは軽くなる。オマケに口許がだらしなく緩むときたもんだ。
ほんと…
俺ばっか好きなんだな…
熱く火照る顔が何よりの証拠だ。
「(あー…くっそ、)」