淡色ドロップス
「この時期に一週間の停学は今後の内申にも響くぞ」
「今それに気づいて若干焦ってる」
「こっっの! 大馬鹿が!!
焦ってんのなら最初からこんなことするな! こんなんでお前の人生台無しにする気か?!」
「…、」
正直、そんなことよりもこんなに柳田が真剣に叱ってくれることに吃驚していた。
柳田だなんて、証拠担任の名を持つだけのヤツだと思っていた。
現にコイツの授業はすげー適当だったし。
生徒より無駄に喋るし。
黒板の字汚くて見えねぇし。
「ったく、お前なぁー…これ以上担任の血糖値を上げさせんなよ」
なんだよお前…意外と先生らしいことすんじゃん…。
こんな状況で柳田の意外な部分を見る羽目になるとは。そう思ったらジンジン痛む頭も妙に許せてしまう。
「柳田だ」
「お前嫌でもここは先生付けろよ」
「殴ったこと後悔してねーから謝んないけど」
「え? え? お前今サラッと俺の説教無駄にしたよな、オイ」
「心配かけてゴメン」
そう言った瞬間、柳田の切れ長の目が少しだけ見開いた。