淡色ドロップス
反応示すな、流せよ。
横目の視界から僅かに映る柳田はクククッと喉を鳴らして笑いを噛み殺していた。
「な、なんだよ」
「いやあー? 早く停学済ませて帰ってこいよ」
柳田は傷を負った背中をバシバシと叩いては、シッシッと手で追い払った。
なんだよ忙しいな。
追い払われなくても出るわこんな居心地の悪い場所。
古びた椅子から立ち上がり
柳田の横を通りすぎる。
通路を歩くたびに俺の顔を伺う大人に若干の苛立ちが募ったが、気にせず職員室を後にした。
―――バタン
はあああ
ドアを閉めた瞬間無意識のうちに漏れる安否のため息。
張り詰めていた空気が柔んだように息がしやすくなった。いつ来ても職員室は苦手だったが、今回は別格だ。
廊下の冷たい空気に触れると、だんだん自分がしでかした事を実感したのか、しきりに佐伯の顔が浮かんだ。
…アイツ、この騒動の件聞いてどう思ったんだろ。
軽蔑…は、しないだろけど
色々狼狽えてんだろうな。