淡色ドロップス
正面から吹きぬける風が夏のシャツとあたしの髪をなびかせる。
あーあ、コンビニいってアイス食べたかったなあ。
こんなことなら昨日唯ちゃんと帰り道に寄ったファミレスで控えとけば良かった。
あ、そういえば…
「ねえ夏なつ」
「あんだよ」
「今日唯ちゃんがね付き合って三ヶ月も経っているのにキスしてないのはおかしいって、いうゔえ?!?!」
――ガシャンガシャン!!
視界が二転も三転も回転した。
い、い、
「い、たぁ〜…
え、な、なに」
身体中がジンジン痛い。
視線の先には横たわっている自転車。
カラカラとタイヤが回っていた。
そして草原に放り出されているあたしと夏。
ああ、土手に落ちたのだと
このときようやく理解した。